デュアルフローパスショックアブソーバー Z33前期型へ導入

M氏のZ33 フロント、前期と後期の比較

T氏の記事を見て「自分のZ33もダンパー交換できますか?」と相談してきてくれた顧客のM氏。当然出来ますよとお返事したら早々に入庫してくれました。

M氏のZ33は初期モデル、走行は5万キロ程度。ダンパーそのもののオイル漏れやガス漏れはありませんが、経年劣化的なヘタリは少なからずあると思いますが、今回ダンパーシステムを変更する目的はヘタリ云々と言う話ではなく、「ヒョコヒョコ動いて乗りにくいから」と言うのが最大の悩みであり目指すは「乗りやすい」Z33を作る必要があります。

これは初期型のZ33にお乗りの方でしたら解るでしょうが、開発の段階で妙なスポーティーぽさを演出したいあまりダンパーが変に硬く、変に乗りにくい足回りになっています。デイトナでZ33を販売して初めてZに乗ったお客さんから「すいません これ強化サスなんですか?」なんて聞かれることも多々あります。それほどまでに違和感ある足回りなんですね。

僕がM氏に提案したのはデュアルフローパスショックアブソーバーを使った後期純正仕様への変更でした。

フロント、前期と後期。
概観からは見分けはつきません。アッパーマウントやバンプラバー、ダストブーツ、スプリングまでも後期仕様へ変更します。

リア、前期と後期の比較

リアの比較
よく見ると違いがわかるのですが、後期ダンパーのほうが全長で70mm短くショートストロークダンパーになっています。スプリング長は同一です。

リアダンパー比較 テンションブッシュも交換です ロアアームASSYで交換 仮想1G組み付け

ショートストロークダンパーですので必然的にシャフトの長さも異なります。

有効ストローク(バンプラバー部は考えないとして)とシリンダー径は、
前期 150mm
後期   85mm

シリンダー径
前期   38mm
後期   45mm

こう見ますと、たとえばダンパーを5mm沈ませるという考えでも、前期と後期ではまったく視点が異なり、前期では沈むエネルギーをアブソーバーの長いストロークで吸収しようと言う考えから、後期では沈むエネルギー量を短いシャフトとシリンダーで吸収しようという考え方に変わっています。そしてあまり必要のない無駄な伸び側のストロークを無くしているようです。結果としてダンパー(タイヤ)が上下に動く量も少ないのでトー変化も少なく、動きに対するダンパーの油量も十分に確保もできるため、よりマイルドな仕様になっていると解釈することができます。そして最大の武器であるデュアルフローパスバルブの2種のバルブで急激なエネルギーを分散です。

ついでにテンションブッシュも交換です。4万キロ以上で必ず切れが生じています。ブッシュ単品では部品が出ませんので、仕方なくロアアームASSYで交換になります。

組み付けは仮想1G組み付け。仕上げは3D4輪アライメントテスターにて0.01°単位で調整して終了です。試運転でその良さは十分に体感できるレベルにまで達しているのを確認していますので「5メートル動かすだけでも違いを感じることが出来ますよ」とM氏に伝え納車しました。

違いを感じる本当に小さな部分、初期のZ33でしたら走行中、特に低速の振動でシートベルトの金具がトリムに当たり「コンコンッ」と不快な音がしています。結構な耳障りです。勿論シートベルトのアンカーを固定出来ていない設計上の問題ですが、それに加え初期型ダンパーでは低速の吸収が苦手なので路面の凹凸が吸収しきれず室内にまで振動が伝わる嫌らしさ。それがデュアルフローパスショックアブソーバーに変更したら微振動は皆無になり嫌なシートベルトの音も消えています。いや、正しくは微低速バルブがキチンと仕事をしてくれているので、小さなエネルギーをも吸収してくれ室内にザワツキを起こさないようにしてくれています。それでいて走り出すと4輪がキチンと動き、接地し走りの質を1ランクも2ランクも上げてくれています。

今までのダンパーの考え方でしたら、どちらかしかチョイスできなかった。低速の乗り心地を確保しようとしたら、高速でふらつき、逆に高速でのシッカリ感をだそうとすると、低速でバタつく(Z33初期はこちら)。
アフターパーツの商品も同じ。大半がスポーツよりに作っているので、どうしても常用の部分で不快な物が多く、アフター商品、特に日本社の物は選ぶのが難しいのが実情でした。
ですが、この2つ特性のバルブを組み合わせたデュアルフローパスショックアブソーバーは純正のダンパーとしては最高の物と思いますし、アフターパーツでしたらOHLINS DFVが同じような考えのダンパーで、僕も使用していますがやはりこちらも最高に気に入っています。

納車後2時間程度でM氏より電話いただきました。
「いやいや、これホント凄いよ!ぜんぜん違うよ。驚いたよ」と少々興奮気味に電話くれました(笑)

「最高だよ 大切に乗るよ ありがとう」と嬉しそうに言ってもらえたのが「やまもと」の最高の喜びなのでした。

2009年10月18日